歴史の空気と里の四季の松平郷 - 現身日和 【うつせみびより】

歴史の空気と里の四季の松平郷

松平郷の里

Canon EOS 10D+EF75-300mm(f4.5-5.6), f5.6, 1/160s(絞り優先)


 去年一年間で、愛知県のいろんなところを散策して回った。公園、森林、山、川、植物園、施設、城、神社仏閣、名所、旧跡などなど。だいたい100ヶ所くらいにはなると思う。その中で個人的にとても気に入った場所のひとつとして松平郷がある。こことは本当に相性が良かった。
 徳川家康を生んだ松平家発祥の地である松平郷は、豊田駅から車で30分の静かな山間の中にある。すぐ向こうは岡崎市という場所にもかかわらず、ひっそりとし空気感に包まれ、外界とは隔絶されていると感じる。さほど驚くには当たらないけど、携帯も圏外だ。
 歴史の里ということで観光地になっているかとうとまったくそうではない。歴史の雰囲気を残しつつ、今もここで暮らす人々がいて、静かな生活感と歴史のムードが渾然一体となっているのがこの里の特徴だ。初めて訪れた人でも優しく包み込んでくれるようなさりげない優しさと暖かみと感じる。それはちょうど、夏休みに田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に遊びに来たという感覚に近い。そこでは、自分が観光客であるということを忘れさせてくれる。

 徳川家康(松平元康)は、松平家の九代目にあたり、ルーツをさかのぼっていくと、初代松平親氏(ちかうじ)に行き着く。元々親氏はこの土地の人間ではない。14世紀の末、一家が没落して放浪の僧になっていた徳阿弥がこの地に流れ着き、当時の松平家当主に気に入られ、入り婿になって松平親氏を名乗ることになったのが始まりだ。それ以前の松平郷や松平家についはあまり知られていない。
 親氏はこの地に松平城を築き、少しずつ勢力を伸ばし、やがて家康へとつながる基礎を確立した。三代信光のとき、本拠を岡崎に移し、家康は岡崎城で生まれている。
 松平城はその後も松平氏が納めていたのだけど、これが後々松平家の内紛を呼ぶことになる。そのせいで家康も子供の頃から大変な苦労をすることになる。ただ、のんきに松平の郷で平和に暮らしていたら、家康の天下統一はなく、江戸時代もなかったわけで、そのあたりもひっくるめて歴史の必然といえるだろうか。

 松平郷には何があるかといえば、実はこれといったものは何もない。親氏を祀った松平東照宮や、松平家の菩提寺である高月院、屋敷跡に資料館、家康が産湯に使ったとされる井戸の後などがあるばかりだ。松平城址、大給城址などが国の文化財になっているとはいえ、残っているのは石垣と堀の一部くらいで、見どころがあるほどでもない。一番の見どころといえば、親氏のオヤジの像かもしれない。野良仕事の途中のようなラフな格好をしたオヤジの姿は一見に値する。着物の前は思いっきりはだけていて、裾は膝上までたくし上げ、ワラジ履き。こんなにリラックスした格好で像になってる人も珍しい。ぼんやりした感じでどこか指差していて、その理由も気になる。でも、そんなオヤジが私は好きだ。
 それ以外には、250メートル室町塀、冠木門、天下茶屋などがあり、歴史ムードをやや盛り上げる。
 しかしなんといっても、私がここを気に入っているのは、季節の花々があるからだ。人の手で植えられたものと自生のもの、民家の人が植えたものなどがいい具合に溶け合って、里の四季を演出している。道ばた、田んぼのあぜ道、池、湿地帯、山、林、川沿い、畑に空き地、それら狭い空間の中で花々が様々な表情を見せてくれるのだ。
 春ならカタクリ、雪割草、シュンラン、シデコブシ、サトザクラ、水芭蕉、ヒトリシズカなどの比較的珍しいものからポピュラーなものまで、夏なら池一面に蓮が咲き、湿地も花で溢れ、秋には彼岸花に萩などが里の風景を彩る。野鳥に昆虫にカエルの合唱。夏の夜は夢のようにホタルが飛ぶという。
 たぶん、こんな光景は、かつて日本のどこにでもあったものだろう。松平郷が特別なわけではない。ただ、今この場所に特別なものを感じるのは、かつての里の風景を必要以上に手を加えたり保存したりせず普通に保っているところだ。ここで暮らす人たちや管理保存しているたちは見えないところで苦労してるのだろうけど、それが前面に出てきてないのがいい。
 そんなにここが気に入ったのなら、いっそ住んでしまえばいいじゃないかとあなたは言うかもしれない。いやいや、それとこれとはまた話が別ですってば。実際に住むとなると、それはもうかなり不便に違いない。店なんかは全部遠そうだし、携帯もつながらない。訪れるにしても年に4回くらいでちょうどいい。おじいちゃんとおばあちゃんのうちだって年に2回も泊まりに行けば充分だったのと同じだ。家から30分くらいの距離なら、毎月でも行きたいところだけど。

 歴史と花の里、松平郷。それはどこにでもありそうでもどこにもない山里。機会があれば訪れて、ここの優しい空気感に包まれてみてください。しばらく過ごすうちに、気持ちがゆったりして、帰る頃には穏やかで幸せな気分になっていることでしょう。
 松平郷PR大使に私なれるかな?

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コメント
非公開コメント

こんばんわ~。
いや~、こちらでは絶対に見れない景色ですよ~。
今でも、ほんのりした花の色のコントラストが綺麗ですから、
秋の紅葉シーズンはもっと華やかになるんでしょうね~。
さてさて、明日はお楽しみの・・・・サンデー・・・
( ̄m ̄* )ムフッ♪

2006-04-24 01:21 | from kuroneko

0泊2日の南米旅行?

★kuronekoさん

 こんにちは。
 札幌もようやく春めいてきたみたいですね。でも、天気予報の気温を見てるとまだまだ寒そー。(>_<)
 名古屋はここのところ20度前後で心地いい日が続いてます。ちょっと天気がよくないんだけど。

 松平郷のような風景はどうなんだろう。北海道にもありそうで意外とないのかもしれませんね。こちらでも、ありそうでなさそうな風景だから。
 ここは去年の夏初めて行って、今年の春が2回目だったから、また秋に行ってそのときの風景をお届けしますね。

 今日のサンデー料理は、南米の旅0泊2日って感じでした。(^^;

2006-04-24 02:52 | from オオタ | Edit

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