離島が私を呼んでいる(?) <答志島・第1回> - 現身日和 【うつせみびより】

離島が私を呼んでいる(?) <答志島・第1回>

答志島集落の風景

PENTAX K10D+PENTAX DA 16-45mm f4 / DA 55-300mm f4-5.8



 7月の終わりのある日、答志島(とうしじま)へ行ってきた。三重県鳥羽市の沖合すぐに浮かぶ離島だ。
 離島という響きに異国情緒にも似た憧れのようなものを感じて、これまでいくつかの島へ渡った。どの島にも島らしさというのがあって、それはやはり本土からするとどこか非日常的を感じるさせるものである。陸続きでないことの独自性と、海に守られていることによる自己完結。人里離れた山村とは違った開放感があり、訪れる旅人を大らかに受け入れてくれるのが心地いい。だから時々、無性に離島へ行きたくなる。
 鳥羽沖には大小多くの島が浮かんでいる。一番大きなものが答志島で、他には菅島、坂手島、神島などがある。
 最初は、欲張って4島を巡ろうと考えていた。けど、船のルートと運行時間からして、どう考えても無理だった。住人にとって最適な時間割になっているのだろう。観光客にとっては乗り継ぎがとても難しい。神島はやや遠いものの、それぞれの距離は30分もかからない程度だから、一つの島を2時間くらい散策して巡っていくことができれば、充分一日で回れる位置関係にある。なんとか無理してでも回れないかと、時間や順番を変えて検討してみたけど、やはりダメであきらめた。
 まあ、あまり欲張っても中途半端になるということで、今回は答志島だけにして、最後に二見浦をくっつけるというスケジュールを組んだ。そしてまた、島での歩きはとてもハードなものとなったのだった。まさか答志島があんな山島だとは思っていなかった。島の中をほとんど休むことなく、何も食べずに6時間も歩き回ったと知ったら、島の人は驚くんじゃないだろうか。
 今日から何回かに分けて、私が見た答志島の風景を紹介していくことにしたい。



鳥羽の街

 鳥羽に降り立ったのは何年ぶりだろう。子供の時以来だからはっきりとは覚えていないけど、なんだかとてもさびれている印象を受けた。いかにも昭和の観光地といった風情で、かつて賑わっていた頃の面影をわずかに残すのみとなっている。以前は確かにもっと活気があった。
 駅前の大きなショップ兼レストランも、閉鎖して久しいようだ。
 鳥羽水族館は、一つ先の中之郷の駅前だから、あちらはここよりもう少し賑わっていると思われる。
 ミキモト真珠島も、昔のようではないのだろう。真珠も最近は売れなくなったと聞く。



佐田浜の船着き場

 駅から歩いて5分くらいのところに、船乗り場の佐田浜がある。どういうわけか鳥羽の船着き場は佐田浜という名前で、最初よく分からず戸惑った。中之郷にも乗り場あって、紛らわしくなるからか、どちらも鳥羽の名前を使っていない。
 答志島にも桃取、答志、和具という3つの船着き場があって、どこへ行けばいいのか迷った。順番にとまるわけではなく、桃取行きと答志行きでは航路が違っている。和具と答志は、両方とまる便もあり、片方しかとまらないものもある。理解するまでにちょっと時間がかかった。
 私は島を横断するつもりだったから、どちらへ行ってもよかったのだけど、行きは手前の桃取行きに乗って、帰りは和具から乗って戻ってきた。念のために書いておくと、普通、桃取と和具の間は歩いて移動するような距離ではないから、私のコース設定はあまり参考にならない。どの集落を中心に回るかを考えて、行き先を決めた方がいいと思う。



定期船の姿

 こういう離島では珍しく、市の定期船が運航している。一般企業だと採算が合わないとやめてしまったりすることがある。市がやっているなら当面は安心だ。
 島への上陸が許されるのは人のみで、車では渡れない。犬とかバイクとかはどうなのか、そのあたりまではよく知らない。犬くらいはいいと思うけどどうだろう。
 桃取までは10分ちょっと、答志までは25分くらいだ。運賃は桃取までが430円、和具と答志までは530円となっている。
 島巡りのお得なチケットも発売されているけど、最初に書いたように日帰りでは事実上不可能なので、泊まりで行く場合に限られる。
 神島へ行くなら、愛知の伊良湖岬から行く方が近い。



船の波しぶき

 出発してほどなくすると、左前方に目的の答志島が見えてくる。
 想像していたよりずっと標高が高い山の島で、気持ちがひるむ。あれの端から端まで歩いて、頂上にも登らなくてはいけないと考えると、ちょっと心配になった。のちにその危うい予感は現実のものとなる。
 答志島の面積は、約7平方キロ。東西6キロ、南北1.5キロの横広の島だ。
 三重県では最大の島で、人口は3,000人足らず。
 北西の桃取、東南の和具、東北の答志と、3つの地区からなっている。好きで3ヶ所に固まっているわけではなく、平地が海に近いその部分しかないから否応なくそこに集まっているだけだ。そしてこの島は、東西二つにくっきりと分かれている。予備知識としてそのことは知っていたのだけど、実際に島を横断してみてその理由を納得することになった。



船の内部

 船の中。このときの乗客数は、定員の2割から3割くらいだっただろうか。朝島へ向かう便ということで、そんなものだろう。それに、桃取行きは答志行きに比べるとマイナーということもある。
 年間18万人ほどが、この島を観光目的で訪れているという。観光島として知られる日間賀島でも25万人というから、思ったよりも多い。釣りのために訪れる人か、あとは食べ物目的か。観光資源はあまり多くない島ではある。



島の港風景

 島の住人の多くは、漁業関係の仕事についているそうで、港の風景もそんな感じだった。宿の経営をしているところも、半分は漁業で生計を立てているのだろう。
 遠くに見えている小さな灯台は、答志灯台だ。



桃取小学校の校庭

 桃取地区のはずれに桃取小学校があり、島の東、答志と和具の間あたりに答志小学校がある。2つも小学校があるところからもこの島の大きさが分かる。
 すぐ目の前には砂浜があり、さほど遠くない向こうには鳥羽が見えている。離島といっても、周囲に何も見えないところと本土が見えているところとでは、島民の感覚はずいぶん違ったものとなるだろう。360度海に囲まれて、陸が見えない島に生まれ育つ感覚というのは、想像ができない。



ビーチの風景

 小学校前のサンビーチ桃取。
 小さな男の子とお父さんが、ポツリと、波打ち際で腰を下ろしている姿があった。夏休みに入っていたから、浜辺は水着の若者たちで埋め尽くされているかもしれないという想像は、まったく外れだった。年間18万人の観光客は、いつどこを訪れているのか。
 浜辺を歩きながら思ったのだけど、島にいると海というのはごく当たり前な存在で、ありがたみをあまり感じない。内陸で暮らしていて海へ行くと、わー、海だと、気持ちが高ぶるものだけど、自分が島の人になってみると海は周囲のどこにでもあるもので、だからどうしたという感じになる。
 陸から見る海は遠い世界とつながっていることを思わせてくれるけど、島から見た海は自分を閉じ込めている壁のように思える。内陸の人間は離島に憧れを抱き、島の人間はどこへでも行ける本土を夢見るものかもしれない。



岩場の風景

 遠く近くにいろんな島や岩、内陸や半島が見える。
 これは何だろう。地図を見ると近くに弁天島というのがあるけど、この岩ではないだろう。向こうの大きな島影が浮島だろうか。



観光船

 城のような格好をした船が浮かんでいた。たぶん観光船だろう。鳥羽の周辺を遊覧している船かもしれない。
 こちらの方向にイルカ島があるはずだ。イルカ島は観光島で、イルカのショーなどが行われている。
 鳥羽一帯はどこをとっても、時代に取り残された昭和の観光地の色合いが強い。



釣り船

 漁船か釣り船か。手前を飛んでいるのはカワウ。
 タカの渡りといえば伊良湖がよく知られているけど、答志島あたりでも上空を飛ぶ姿が見られるんじゃないだろうか。10月のはじめ、このあたりの海の上を大量のタカたちが渡っていく。



桃取の路地風景

 海を見たあとは、桃取地区の散策へと移った。離島といえばなんといっても路地だ。路地が撮りたくて離島へ行っていると言ってもいい。この島にもたくさんのいい路地があった。



狭い路地

 細い。これぞ島の路地だ。
 次回は桃取の路地風景を紹介することにして、第一回目はここまでとしたい。

 つづく。

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2010-08-20 03:38 | from -

山生まれ



 島のよさは、独特のものがありますね。
 私は山生まれの街育ちなんで、よけいに違いを感じます。
 行きたい島はまだまだたくさんありますが、まずは近所の島から巡っていきたいと思ってます。
 また行ってきたらブログで紹介します。

2010-08-20 20:57 | from オオタ | Edit

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