岡崎花火大会の消極的な楽しみ方 <後編> - 現身日和 【うつせみびより】

岡崎花火大会の消極的な楽しみ方 <後編>

岡崎花火2-1

PENTAX K10D+PENTAX DA 16-45mm f4 / PENTAX-M 50mm f1.4



 岡崎の花火会場に到着したのは、始まって少し経った7時15分頃だった。
 すでに見物客はスタンバイを完了していたものの、やはりここは人が少ない。穴場情報は本当だった。
 岡崎の花火は、乙川河畔と矢作川と、2ヶ所で同時に打ち上がる。メインの会場は乙川の方で、あちらはものすごく大混雑をするという話を聞いて尻込みした。以前、戸田橋花火でえらい目にあったことがあって、もう一度あんな体験をするのは避けたかった。混雑は行きよりもむしろ帰りが強烈で、怒声が飛び交う殺伐とした雰囲気に包まれるのがなんとも嫌だ。せっかくなら花火を近くで撮りたいけど、なるべく平和に見たいという気持ちの方が強かった。
 矢作川河畔は、比較的空いていて、両方の花火が見えつつ、ゆったりしているというので、そちらで見ると決めていた。
 右岸でも左岸でも見えるということだったけど、帰りのことを考えて左岸にした。地図で見ると川の右側だ。
 できるだけ混雑を避けることを優先して、行きの電車は名鉄の矢作橋で降りた。東岡崎の混雑は猛烈らしいので、あそこだけはやめた方がいい。特に帰りが危険だ。
 矢作橋から見物ポイントまでは2キロくらいあって、少し時間がかかった。私が見たのは、町名でいうと八帖南町1の土手だった。もっと南まで行くと、矢作川の打ち上げポイントに近くなるけど、たぶん、近づくほどに混んでいるのだと思う。
 帰りは花火大会が終わる20分前に腰を上げた。終わった直後に帰ろうとすると、人の渋滞と電車に乗るための待ちですごく時間がかかる。とにかく名鉄は混雑がひどいので、中岡崎駅から愛知環状鉄道に乗って岡崎まで行き、岡崎からJRに乗り換えて名古屋に帰った。それでも、愛知環状鉄道は朝のラッシュ並みのすし詰めだった。JRまで出てしまえば、普段と変わらない。
 岡崎の花火は8月の第一土曜日の一日限りで、今年はもう終わってしまったけど、来年以降の参考にしてもらえればと思う。こんな消極的な楽しみ方もあるということで。

岡崎花火2-2

 まだ空に明るさが少し残っている頃の花火。撮るにはやはり空が暗くならないとよくない。
 岡崎の花火は、夕方の6時50分から9時までの2時間10分、ほぼ休みなしに淡々と打ち上がる。ナレーションや音楽などの演出が増える中、昔ながらのスタイルを守っている。
 打ち上げの数は、今年は未公開だった。毎年のように見ている人の話では、昔の方がもっとすごくて、最近はだいぶおとなしくなったとのことだ。打ち上げ花火も景気に左右されるものだ。

岡崎花火2-3

 今どきは、たまや~、かぎや~、などとかけ声をかける人はいない。カップルがふざけて言うくらいだ。
 玉屋の方がよく知られているけど、本家は鍵屋だった。江戸時代の初期、奈良県吉野出身の初代鍵屋が江戸に出て成功して、江戸の花火を一手に担った。玉屋はのれん分けをしてもらった番頭の清七が名乗ったもので、たちまち人気が出て、鍵屋を追い抜いてしまった。隅田川の上流と下流で、それぞれが競うように打ち上げ花火を上げて、見物人たちはひいきの方の名前を叫んだ。たまや~、かぎや~、と。
 玉屋も鍵屋も、直系は途絶えてしまったものの、両方とものれん分けで現在まで続いているそうだ。
 花火は鉄砲などの火薬が発展したもので、最初に花火見学をしたのは徳川家康と言われている。当初は単純に吹き出し花火で、その名残が手筒花火として三河地方に今でも伝わっている。岡崎は家康の出身地で、三河花火の本場だ。
 岡崎の花火大会は、戦後まもない昭和23年に始まって、今年で62回目を迎えた。
 日本最古の花火大会は、言うまでもなく両国の花火(隅田川花火大会)だ。今年も相変わらずの大人気だったことだろう。一度見てみたいけど、岡崎の45万人に対して倍以上の95万人と聞くと、それだけで気力が萎えそうだ。

岡崎花火2-4

 こちらは矢作川河畔から見る乙川の花火。建物が邪魔で街明かりも写り込んでしまうから撮影向きではないけど、見るだけなら充分見られる。
 すぐ横を名鉄本線が走っているから、電車も一緒に写し込みたかった。長時間露光で光の線になってしまったけど、工夫次第では電車と花火の両立はできるかもしれない。

岡崎花火2-5

 乙川の方が色遣いが多彩で、凝った花火が多い。花火重視なら、やはり乙川近くに陣取るべきだろう。

岡崎花火2-6

 連続する花火を長時間露光で撮ると、露出オーバーで光が単色の白になってしまう。
 今回でいろいろ掴んだ部分もあったから、これを次回にいかしたい。

岡崎花火2-7

 露光時間は必要最低限で短い方がいい。そのために絞りを調節する必要がある。基本はF8くらいでも、固定していていいわけではない。花火によって開放に近いくらいにした方がいい場合もある。
 露光時間が短い方が暗闇の部分の黒が締まる。街明かりも少なくなる。

岡崎花火2-8

 花火撮りは通常、横位置で撮るものだけど、花火だけを撮る場合、縦位置の方が向いていることに気づいた。花火は丸いという思い込みは必ずしも正しいものではなくて、打ち上がる軌跡も入れると縦長になる。そうなると、横位置では左右に無駄なスペースができる。縦位置の方が無駄がない。

岡崎花火2-9

 縦位置に気づくのがやや遅かったものの、気づいたのは収穫だった。これも次にいかせそうだ。

岡崎花火2-10

 花火は当然、煙が出る。煙も味といえばそうなのだけど、どういう条件が良い条件なのだろう。風はある程度強い方がいいのか、まったく無風の方がいいのか。
 ときどき、煙が光に照らされて、オーロラのようにきれいだった。

岡崎花火2-11

 朧の花火。
 余裕が出てきたら、わざとアウトフォーカスにするとか、いろんな表現方法を試すのもいい。
 花火撮影はわりと単調でだんだん飽きてくるから、いろいろアイディアを持っている方が楽しめる。
 黒い紙で覆う多重露光のやり方も、今後の課題として残った。

岡崎花火2-12

 写真として成立するぎりぎりの暗さ。絞り染めの模様のようだ。

岡崎花火2-13

 そろそろ切り上げる時間になった。名残惜しい気持ちを残しつつ、会場をあとにした。

岡崎花火2-14

 帰り道に手持ちで撮った一枚。
 近所の人たちは家の前に椅子を並べて、家族や友達たちと花火見物をしていた。そういう光景も含めて、日本の夏を感じた花火大会だった。
 ちょっと大変だったけど、面白かった。また行きたいという気持ちになった。この夏にもう一度くらいどこかへ撮りに行きたいと考えている。

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