私の目に映った夏の高松海岸の光景 - 現身日和 【うつせみびより】

私の目に映った夏の高松海岸の光景

高松海岸-1

PENTAX K10D+PENTAX DA 16-45mm f4 / 55-300mm f4-5.8



 三重県の高松海岸と聞いてすぐに分かる人は少ないと思う。その海岸は、四日市の隣、三重郡川越町にある。川越町を知ってる人もあまり多くないだろうけど。
 どうしてそんなマイナーな場所を訪れたかといえば、ここには伊勢湾では貴重になった天然の干潟が残っていることを知ったからだった。四日市あたりの伊勢湾は、埋め立てが繰り返されて、高松海岸が北勢に残された唯一の自然海岸となった。何故かここだけ砂浜が残された。
 愛知県では藤前干潟が有名になった。ゴミの埋め立て場を作る計画を市民運動が阻止して、ラムサール条約に登録されたことで守られた。高松海岸は一般的にはあまり知られていないところだけに、今後が少し心配だ。この50年の間に、日本の干潟は50パーセント近くが失われた。
 高松海岸は鈴鹿山脈の羽鳥峰(はとみね)を源流とする朝明川(あさけがわ)の河口に広がっている。広さは約28ヘクタール、海岸線は約500メートルの長さがある。
 伊勢湾台風の前は、干潮になると1キロ先まで干潟ができたそうだ。その頃に比べると、今は狭くなってしまった。
 それでも春にはアサリやハマグリ、マテガイなどが採れ、砂浜にはハマヒルガオが咲き乱れ、冬には多くの渡り鳥たちが訪れる魅力的な海岸であり続けている。かつては日本中どこでも当たり前にあったそんな海岸も、今では珍しく貴重なものとなった。
 そんな干潟の海岸を見てみたくて訪れた私の目に飛び込んできたのは、意外な光景だった。

高松海岸-2

 なんだこりゃ?
 ほとんどひとけもないであろう干潟で、エサを食べに訪れた野鳥を撮ろうと思っていたのに、目の前に広がっていたのはマリンスポーツで賑わう海だった。あまりの予想外の光景に、場所を間違えたのかと思った。
 パラグライダーのサーフィン版だから、パラサーフィンというのだろうか。よく分からないけど初めて目にするものだ。私が知らないだけでメジャーなマリンスポーツなんだろうか。
 全員が知り合いの同じ仲間で訪れているのか、それとも愛好家がバラバラにやってきて思いおもいに楽しんでいるのか。砂浜にいた人たちも仲間だとすると、30人くらいいたんじゃないだろうか。
 どうやらこの場所は、パラサーフィンに適した条件のところらしい。

高松海岸-6

 小さいボードを足につけて、パラシュートみたいなので風をとらえながら水の上を滑ったり、ときにジャンプしたりする。理屈は分かるし、楽しみ方もなんとなく想像できる。やってみたら楽しそうだとも思った。
 ただ、風任せなところがあって、初心者らしき人はコントロールに苦労していたから、見た目以上に難しいものなのかもしれない。沖の方まで飛んでいって、風が止まったら帰ってこられなくなるんじゃないのか。

高松海岸-5

 海岸の砂質は、固くもあり、深くもある。足を取られて歩きづらい。鈴鹿山脈の花崗岩の流出土砂が主な成分になっているようだ。
 波打ち際の砂浜はきれいだけど、海岸には無数のゴミや木ぎれなどが散乱している。保存会の人たちが清掃作業をしているそうだけど、やってもやってもキリがないだろう。

高松海岸-3

 海岸だけが異空間で、周囲は埋め立てられた完全な臨海工業地帯だ。夕焼けや夜に訪れれば、工場萌えの写真が撮れそうでもある。
 すぐ近くには中部電力川越火力発電所がある。これのおかげで川越町は三重県でも有数のお金持ちの町となっている。だから、四日市と合併する気はないだろう。
 
高松海岸-4

 時折、船が通ったりもする。
 どこを見渡しても、思い描いていた天然海岸の干潟風景ではなかった。

高松海岸-7

 海岸の突端あたりで何を採っている人がいた。素人が趣味で貝拾いをしているふうではなかった。お父さんとお母さんともう一人女の人と3人いた。漁師さんなんだろうと思う。
 ようやくちょっと干潟らしい光景を見ることができた。

高松海岸-8

 写真のお仲間の女の人がいた。自分以外にこんなところに写真を撮りに来る人がいたのも意外だった。
 海を撮りに来たのか、パラサーフィンを撮っていたのだろうか。

高松海岸-9

 私が訪れたのは、干潮から1時間くらい経ったときだった。しばらく過ごしているうちに、だんだん潮が満ちてきた。
 干潮時の姿が見られたのかどうか分からない。

高松海岸-10

 やっと鳥を見つけた、と思ったら、スズメだった。
 結局、このときは干潟を訪れるような野鳥はまったく見ることができなかった。

高松海岸-11

 なんだか思ってもいないようなものや人が次々に現れて、退屈しなかった。高松海岸というのは、面白い海岸だった。

高松海岸-12

 足跡と、砂浜の小さな芽。こんなところでうまく育つんだろうか。

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 見たことがあるようなないような花。海岸の花はなじみのないものが多い。
 砂地と潮風という悪条件でも咲ける花は強い。
 ハマヒルガオの群生というのも見てみたい。

高松海岸-14

 逆行とシルエット。
 夕焼けまで待つには時間がありすぎた。
 ここまで富田駅から3キロ歩いてきて、ここから四日市ポートビルまで歩いていった。この旅で、このときの歩きが一番しんどかった。

高松海岸-15

 海岸から見た風景を、水彩画風に仕上げてみた。夏の日のスケッチみたいになった。

 私が見た高松海岸は、こんな場所だった。

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コメント
非公開コメント

眩しい

白昼夢をみているような風景ですね。

あまり三重に行く機会はなかったのですが
伊勢志摩以外にもいいところがたくさんありそうです。

最後の写真、ジブリっぽいですね。

2010-08-06 20:41 | from いちこ

三重の多様性

★いちこさん

 こんにちは。
 高松海岸は、異質な存在が混在指定、ちょっと不思議な空間でした。
 思い描いていた海とはずいぶん違ってました。

 三重県は縦にも長いし、横にも広がりがあるし、かなり多彩ということを再認識してます。
 近いうちに離島と二見も登場します。

 最後の一枚は、なるほど、どこかで見たような感じだと思ったら、確かにジブリっぽい。納得しました。

2010-08-06 22:22 | from オオタ | Edit

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