古ければなんでもいいというわけじゃない <関宿・第三回> - 現身日和 【うつせみびより】

古ければなんでもいいというわけじゃない <関宿・第三回>

関宿3-1

PENTAX K10D+DA 16-45mm f4 / DA 55-300mm f4-5.8



 古い家並みはよそ者にとっては新鮮に映るけれど、住んでいる人にとっては当たり前の光景で、特別な感慨もないのかもしれない。観光客の私でさえ、1時間も見続けていたらだんだん見慣れてきて、次第に感覚が鈍くなっていった。見飽きるくらいたくさんの古い建物が残っていることがすごいことなのだけど。
 関宿3回目の今日は、古びた建物の写真を中心に集めてみた。別にひねくれているわけではないのだけど、人が住まなくなって崩れかけている家屋に惹かれて、そういうところをよく撮る。何故そこに惹かれるのかという自己分析はあまりちゃんとできていなくて、なんとなく好きとしか説明のしようがない。強いて言えば、流れた歳月を思うからなのだろうけど、古ければなんでもいいというわけではなく、いいと思うものもあり、感じるものがないものもある。自分でもよく分かっていない。

関宿3-2

 看板の感じといい、窓に貼られた魚のシールといい、昭和の感覚が色濃い。
 これから30年くらい経ったとき、平成初期というのはどんな感じの懐かしさとして捉えることになるのだろう。今最先端のものがどんな風に古びるのか、今はまだ想像がつかない。

関宿3-3

 キユーボシ醤油というのは聞いたことがない。ユは小文字ではなく大文字だというところにも古めかしさを感じる。
 地元の蔵で醸造していたものだろうか。下津醸とあるから調べてみると、津市一身田町にあった蔵で造られたしょう油のようだ。創業安政三年(1856年)というから歴史のあるところだったのだ。
 昔は、各地にしょう油の醸造所がたくさんあった。今は大手が造ったものがスーパーで売られるのが当たり前になっているけど、少しだけ小さな醸造所もある。

関宿3-4

 精肉店の看板は、錆び放題でかなりの風合いを出している。今更ペンキを塗り直してピカピカにしてしまったら、周囲の景観と合わなくなるから、これはこれでいいのかもしれない。

関宿3-5

 人が住まなくなった廃屋というのは、必ずしも死を意味しない。ゆっくりと崩壊していくとしても、建っている以上はまだ生きている。その踏ん張っている感じが好きとも言えそうだ。

関宿3-6

 おばあちゃんがやっているたばこ屋なんてのも、今はほとんどなくなった。自販機に取って代わり、たばこのカードがないと買えないような時代だ。喫煙者もどんどん減っていって、今度の大幅な値上げでますますたばこ離れが進みそうだ。
 私も昔はたばこが好きでよく吸っていた。もうやめて久しいから、人が吸ってるたばこの煙は苦手になったけど、文化やスタイルとしてたばこは存在していいと思っている。
 時代が進むにつれて、詰まらなくなっていく部分というのも、確かにある。

関宿3-7

 廃業して久しい様子のお店屋さん。たばこの文字が右書きで、「こばた」になっている。その下にはTABAKOとローマ字でふりがながふってある。ひらがなとローマ字が合ってない。英語表記するなら、TABACCOとなる。今更そんなところを指摘してもしょうがないのだけど。

関宿3-8

 時計店の文字の下に、別の店名の文字がうっすら残っている。おかげで時計店の文字が浮き上がっているように見える。まさかとは思うけど、特殊効果を狙ったのか。

関宿3-9

 古い家屋が軒を連ねている様子。
 みんなが道の方を向いて行儀よく一列に並んでいる姿は、なんとなく面白く感じられる。現在の町並みは、道路に面しているといっても、奥行きや高さはそれぞれで統一感がない。ここは高さも前面もほとんど揃っていて、それがずっと続いている。
 実際に住んでみると、なんとなく違和感を覚えそうな気がする。

関宿3-10

 黒く塗られたトタンの高い家と、奥へ続く細い路地。こんな光景をいつかどこかでも見た気がする。たぶん、あちこちで同じような風景を見ている。そこに毎回惹かれて、毎回撮っているから、既視感を覚えるのだ。

関宿3-11

 かつての旅籠玉屋の内部を、有料で見学できるようになっている。
 あとから振り返ったとき、せっかくだから見ておけばよかったと思うことが多いけど、現地ではたいてまあいいやとなる。

関宿3-12

 こちらは、鶴屋の跡。
「関で泊まるなら鶴屋か玉屋」とうたわれた関宿を代表する旅籠だったようだ。

関宿3-13

 格子造の一階に、洋風の二階が乗っている。ちょっと珍しいスタイルの和洋折衷だ。
 二階もアーチの奥に格子が見えているから、外観に洋風の壁を貼りつけただけかもしれない。

関宿3-14

 目薬オガナかと思ったら、ナガオ薬局だった。
 株式會社塩野義商店特約とあるから、今のシオノギ製薬と特約店契約を結んでいたのだろう。
 当時の薬品名を見ると、ヂキタミン、ドルミン、ラキサトール、ポンホリン、オイロ、カヴィドールなどというのが並ぶ。薬品名からどんな薬なのか、まったく見当がつかない。

関宿3-15

 古そうなホンダのバイク。
 プラッシーのケースも懐かしい。米屋で売っていたオレンジジュースだったか。

 関宿は撮るものがたくさんあって、写真の枚数が増える。それでも、そろそろ先へ進まないといけないから、次回で最終回としたい。
 第4回につづく。

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