良くも悪く観光地じゃない関宿の町並み <第一回> - 現身日和 【うつせみびより】

良くも悪く観光地じゃない関宿の町並み <第一回>

関宿1-1

PENTAX K10D+DA 16-45mm f4 / DA 55-300mm f4-5.8



 伊賀上野をあとにして、関駅に降り立った。
 関(せき)というと、刃物の町として知られる岐阜県の関市を思い浮かべてしまいがちだ。だから、最初に関宿(せきじゅく)というのを知ったときは、関市にあるものだと思っていた。実際は、三重県の亀山市にある(合併前は関町)。関東の人なら、関宿城(せきやどじょう)のある千葉の関宿を連想するかもしれない。
 関宿は、東海道五十三次、47番目の宿場町で、東は伊勢街道、西は大和街道の分岐点でもあり、かつては交通の要所として大変な賑わいを見せた宿場だった。
 古代には越前の愛発(あらち)、美濃の不破(ふわ)とともに三関といわれた伊勢鈴鹿の関が置かれた場所でもあり、壬申の乱のときは大海人皇子(後の天武天皇)がここを通って美濃へ至り、鈴鹿の関を固めたという歴史の舞台にもなった。関という名前は、この鈴鹿の関から来ている。家康が伊賀越えをしたときも、服部半蔵正成とともにこの道を通って三河に逃げ延びていった。
 のちに東海道は、国道1号線として整備されたため、昔の面影を残す宿場町はほとんどない。関の場合は、南へ迂回する恰好で新たに道が作られたため、宿場町は手つかずのまま残ることになった。東海道の宿場の中では、関宿だけが国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
 予備知識をあまり持たないまま行ってみると、想像以上に古い家並みが残っていて驚くことになった。規模としては、木曽路の馬籠や妻籠宿をはるかに越えている。約1.8キロの間に、古い町家が200軒ほど残っており、片っ端から撮っていったら、撮っても撮ってもキリがなくて、途中で飽きたほどだった。
 これほど大量に古い家並みが残っているところはそうはない。飛騨高山よりも質は高いくらいなのに、まるで観光地になっていない。ただただ時代に取り残されたといった風情で、不思議なほどの日常感に観光客の私はかえって戸惑うことになった。何故流行らないのかという理由については、個人的に思うこともあったので、このシリーズの中で折に触れて書いていきたいと思う。
 とにかく多くなった写真をどうするかを考えないといけない。使えるものを全部出していたら、関宿だけで7回くらいになってしまう。まだまだネタの在庫がだぶついてるし、なんとか3、4回にまとめたい。
 そんなわけで、とりあえず関宿シリーズをスタートさせることにする。

関宿1-2

 関の山という言葉は、ここ関宿から来ている。
 せいぜいそれくらいが関の山のような使われ方をしているけど、もともとは関宿の夏祭りに使われた山車(やま)が大変立派なもので、もうそれ以上のものはないという意味で関の山という言葉が使われるようになったとされる。

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 古い家屋が残るといっても、飛びとびに残っているだけで、新しい家とミックスになっているところがほとんどなのに、ここは申し合わせたように古い家が並んでいる。
 重要伝統的建造物群保存地区に指定されたのは昭和59年のことで、それ以降は勝手に改築できないようになったとはいえ、そこまで残っていたことに驚く。この残り方というのは、少し不自然というか、違和感があった。悪い意味ではないのだけど、自然な時代の流れで普通はもっと変化していくはずなのに、ここは時の流れが際立ってゆるやかなのか、残したというよりも残ってしまったといった感じを受けた。
 もちろん、保存指定されてからは古い家屋を残すために大変な努力があるのだとは思う。店舗なども昔の姿風の外観にしているし、電柱と電線を地下に入れて非常にすっきりした景観となっているのは良い。
 ただ、なんというか、気の流れがよくないというのか、時間の流れが滞っているような印象を受けた。そこが一つ、人があまり集まってこない原因にもなっているのではないかと思ったりもする。町並みの中にきれいな水の流れがないのも少し気になった。

関宿1-4

 それにしても、この古いたたずまいは魅力的だ。江戸時代でもあり、昭和でもある。宿場町としてよりも、こういう昭和の部分に惹かれる部分が多かった。自然と笑みがこぼれる。

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 宿場町としての名残もあちこちにある。郵便ポストもこの通り。

関宿1-6

 東の追分は、伊勢街道との分岐点で、大きな鳥居が建っている。お伊勢参りの人はここで伊勢街道に入り、神宮を目指すことになる。
 この鳥居は式年遷宮のときに伊勢神宮の古い鳥居を移築したものだ。次の式年遷宮のときも、交換される。
 伊勢神宮の外宮までは15里(60キロ)。江戸時代の人はお伊勢参りのとき一日40キロくらい歩いたというから、一日半の道のりだ。女の人でぎりぎり2日で行けるかどうかといったところか。

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 どんな町へ行っても、狭い路地を見つけると入らずにはいられない。ノラ猫的な習性だ。

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 白と黒の蔵。
 神社の朱塗りと、蔵の白黒には強く惹かれる。感覚的なものなのだけど。

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 2匹の猫がのんびりくつろぎ中。
 猫のいる町はいい町という個人的な判断基準がある。せわしくて世知辛い世の中だけど、ノラ猫くらいはのんきに過ごせる町であって欲しい。

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 この日は平日ということもあって、観光客はごく少なめ、たまに見かける程度だった。魅力のわりに知名度が低すぎる。三重県生まれでこれだけあちこち出歩いている私でさえ、ここの存在を知ったのはわりと最近のことなのだから、東海三県以外で関宿を知っている人がどれだけいるか。

関宿1-11

 他とは違う変わった雰囲気の建物もたまにある。これは何屋さんだったのだろう。タイルの感じは銭湯っぽい。入口が二つだから、男湯と女湯だろうか。

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 古い家屋を利用したギャラリーや飲食店などが何軒かある。観光地にありがちなおみやげ屋のたぐいはほとんどない。
 昔の町並みは残しても、あまり観光地にしたくないというのが、関の住人の本音かもしれない。

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 たぶん駄菓子屋さんみたいな店だと思う。お菓子を買ってもらった女の子が嬉しそうに出てきたから。
 どこも格子の町屋風の家屋で、一見すると何屋さんかよく分からなかったりする。

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 関宿の日常的光景。
 週末や夏休みなどがどんな状態になるのか想像がつかないのだけど、春休みの平日はこんな風だと思われる。生活と観光の割合でいうと、9対1くらいだ。
 狭い道路なのに車の交通量が多い。このエリアの住人ではなさそうで、地元の人間が1号線の抜け道として利用しているのだろうか。

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 おやじさん二人が仲良しそう。

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 1回目はここまでとして、次回に続くということにしよう。

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コメント
非公開コメント

オオタさん、ここ素晴らしいですね^^
私にはこういう町並み、とても魅力的です♪
観光地にならないで、自然に存在してるってとこがいいです。
いいな~♪私もこんなとこ歩いたら
一日中でもいたいと思うでしょう^^
関の山はそういう意味だったのですね
勉強になりました^^

2010-04-27 08:32 | from にこ

もったいない

★にこさん

 こんにちは。
 関宿の古い町並みは、すごく魅力的でもあり、ちょっと考えさせられるものでもありました。
 あー、惜しい、もったいない、という感じ。
 観光地になって賑わえばいいというわけではないけど、もっと魅力的になれるのになりきれてなくてもどかしいような。
 もう少し関宿シリーズは続くけど、そのうち古い町並み写真にも飽きてくるかも。(^^;

2010-04-28 02:04 | from オオタ | Edit

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