ユリカモメに学ぶ見た目清楚な女の子の傾向と対策 - 現身日和 【うつせみびより】

ユリカモメに学ぶ見た目清楚な女の子の傾向と対策

氷上のユリカモメ

Canon EOS D30+EF75-300mm(f4-5.6), f6.7, 1/125s(絞り優先)


 氷の張った名古屋城の堀には、今たくさんのユリカモメたちが訪れている。今年は特別に寒い名古屋の冬も、シベリアあたりからやって来ているユリカモメたちにとっては、冷凍庫から冷蔵庫に移動したくらい暖かく感じていることだろう。
 彼らは名古屋城が築城された頃からこの場所にやって来ているかもしれない。『伊勢物語』の中に出てくる在原業平の「名にしおはば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」の「都鳥」はこのユリカモメのことを指しているというから、平安時代にはもうなじみの渡り鳥だったということになる。だとしたら当然江戸時代にはもう訪れていただろう。ただ、在原業平はこの歌を隅田川で歌い、京にはいなかったというから、元々は西には渡っていかなかったのかもしれない。となると名古屋は微妙なところだ。いたかもしれないし、いなかったかもしれない(日本を訪れるユリカモメの地域が拡大したのは1970年以降らしい)。徳川家康はこの光景を目にしたんだろうか。
 今では日本全国どこにでもいる。京都も鴨川にたくさんいるそうだ。東京都の都鳥ともなっている。

 ユリカモメは入り江のカモメが転じてユリカモメとなったと言われている。本当だろうか。少し怪しい。漢字で書くと百合鴎。白いから百合カモメの方がしっくりくる。
 英名はBlack-headed Gull。どうして黒い頭という名前がついてるかというと、春になって旅立つ頃になると羽が生えかわって黒頭巾を被ったような顔になるからだ。白い姿しか知らない人が見ると、その姿はけっこう衝撃的で笑えると思う。夏休み明けの2学期に突然ガングロになってしまった女子高生みたい。おいおい、どうしたんだよ、と声をかけたくなる。5月頃その姿が見られるから、写真を撮れたら撮りたい。
 冬場は白い頭と白い胸、灰色の羽という姿でけっこう清楚な感じだ。最初クチバシや足は鈍いオレンジ色で、そこからもう一度変身して、真冬には鮮やかな赤いクチバシと足になる。オスとメスは同色なので、私には区別がつかない。
 カップルの期間は向こうに渡った4から7月で、一夫一妻、メスもオスも卵を抱く。一回の卵数は2、3個というから貴重だ。繁殖は主にユーラシア大陸で、向こうではものすごい数が大集団を形成してるらしい。日本にいるときも数十から数百の群れを作って行動してることが多いから、よほど集団生活が好きなのだろう。私は生まれ変わってもなるべくユリカモメにはなりたくないと思う。孤独を好むサギの方がいい。
 食べ物の好みは雑食性で、ほとんどカラスに近い。昆虫や魚、小動物、死肉、果実など、かなり幅広い。言い方を変えれば好き嫌いはありません、という健康優良児みたいなやつだ。人の手からパンをもらってる食べてる姿などもよく見かける。そのあたりがカラスとは違うところで、人にこびず自分の知恵で生き抜く黒いカラスと、白い姿で人に好かれて上手く利用するユリカモメと、好対照と言えるだろう。
 白くてかわいい顔をした女の子が上品で清楚だと決めつけてはいけないということをユリカモメは私に教えてくれる。

 ひとつ面白い性質として、ユリカモメは通勤してくる鳥というのが挙げられる。昼間過ごすエサ場と夜の寝床が離れた別の場所で、毎日ねぐらとエサ場を往復する郊外に住むサラリーマンのような生活を送っている。京都の鴨川にいるやつは、夜になると琵琶湖まで帰っていくというから、かなりの長距離通勤だ。それ以外のところでは海の上で仲間と固まって寝てることが多いらしい。名古屋城のやつらは名古屋港あたりで寝てるんだろうか。そういえば、日暮れ前になったら、こんなにもたくさんいたやつが人っ子一人いなくなってしまった。
 海の上の方が眠るときは安全なのだろう。じゃあそのままカモメらしく海にいればいいじゃないかと思うけど、エサをとるには川や池の方が都合がいいらしい。パンをくれる人間も海まではあまり来てくれないだろうし。
 それに海には別のカモメもたくさんいて邪魔くさいというのがあるのかもしれない。カモメじゃないけどウミネコとかコアジサシとか、その他セグロカモメ、ズグロカモメ、ミツユビカモメ、シロカモメなど、直接のライバルが多い。その点、内陸は直接の競合相手が少ない。どんくさいカモを出し抜くくらい楽勝だ。

 カモメを目にすると反射的に、ハ~バ~ライトが~ 朝日に~変わ~る~♪ と歌い出してしまうあなたはきっと30代以上に違いない。その時~ 一羽の~ かもめ~が~ 翔~ん~だ~♪
 これを読んで、もしカモメ好きになったとしたら、今度私と一緒にカモメを見に海へ行きませんか? そして、海を見ながら「かもめが翔んだ日」を熱唱しましょう。
 イヤ? しょうがない、ひとりで行くか。季節外れ~の~ 港町~ ああ~ 私の~影だけ~ かもめ~が翔んだ~ かもめ~が翔んだ~ あなたは 一人で~ 生きら~れ~るの~ね~~♪
 この歌はひとりで歌う方が合ってるな。名古屋港でカモメを見ながらこの歌を歌ってる私を見つけても、声はかけないでください。

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コメント
非公開コメント

う~ん、この写真もきれい♪
最近鳥さんに凝っていますね^^
さて名古屋港でおみかけしても・・・そっと陰から見ていることにします。(笑)

2006-01-11 22:05 | from RIRICO | Edit

涙でにじんで

★RIRICOさん

 最近、ちょっと鳥が多くなってますね。というのも散策を怠けていて、遠出してないから、近場で短時間で撮れる鳥になってしまうというわけです。(^^;
 その鳥も、ホントはもう少し時間をかけていろんなものを撮りたいところです。水辺だけじゃなく、木の上のやつも。

 カモメを見つめて小声で歌を唄っている男がいたら、ぜひ声をかけてください。でもきっと、涙でにじんでRIRICOさんの姿は見えないと思う(笑)。
 せめて写真だけでも撮ってくださいね。私とカモメのツーショット。

2006-01-12 03:58 | from オオタ | Edit

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