日光でゆったりできたのは中禅寺湖の遊覧船の中だけだった ~日光第二回 - 現身日和 【うつせみびより】

日光でゆったりできたのは中禅寺湖の遊覧船の中だけだった ~日光第二回

中禅寺湖の風景



 日光といえば東照宮華厳の滝中禅寺湖と、この3つが代表的な観光地と言っていいと思う。猿軍団はどうしたとか、江戸村も忘れるなとか、いろいろ意見もあるだろうけど、とりあえず昔からの有名どころとしてはこの3つに違いない(個人的には1/25スケールで世界一周ができる東武ワールドスクウェアというのも気になっていた)。
 この3点セットを日帰りで回ろうとすると、実はけっこう大変だ。渋滞していないときでも駅から中禅寺湖までは片道1時間くらいかかる。往復だと2時間。華厳の滝までは歩いて15分。東照宮をはじめとした寺社群をくまなく回るとライトコースでも2時間半、ヘビーコースなら4時間くらいを要する。それぞれの待ち時間などを考え合わせると、おちおち休んでもいられない。日光なんてお年寄り向きの観光地と思ってるかもしれないけど、あそこは元気なうちに行っておいた方がいいところだ。
 私たちは明智平へ寄っていったので、更にスケジュールはタイトになった。結果的には予定通りすべて回りきることができたのだけど、どこかでバスを1本逃していたら断念するところが出てしまうほどのぎりぎりさだった。バスを追いかけて走ったり、途中で親切なおじさまにいろいろ教えてもらったり、幸運にも恵まれた。
 そんなわけで、日光シリーズ第二弾は中禅寺湖編となる。

 中禅寺湖のあるあたりは、区分としては奥日光ということになる。一般的に日光といえば、駅から東照宮周辺と市街地を指す。その境目は、屏風岩(びょうぶいわ)あたりとされているようだ。
 もともと日光というのは、二荒山(ふたらさん)が転じたものとされている。男体山は二荒山とも呼ばれていて、二荒を「にっこう」と音読みして、それがのちに日光と表記されるようになったのだと。これについても天海が関係しているという話もある。
 日光を開いたのは、昨日も出てきた勝道上人(しょうどうしょうにん)だ。男体山に初めて登ったのも勝道上人ならば、中禅寺湖を見つけたのも、華厳の滝を発見したのも勝道上人だと言われている。勝道上人抜きには日光は語れない。そのあたりの詳しいことは、神社仏閣編のときに書きたいと思う。
 中禅寺湖は、2万年ほど前に男体山の噴火によってできた堰止湖(せきとめこ)だ。標高は1,271メートルで、4平方キロ以上の湖では日本で最も高い場所に位置している。
 意外に知らない人もいるかもしれないけど、華厳の滝はこの中禅寺湖から流れ出る水でできた滝だ。高さ97メートルの華厳の滝は、中禅寺湖の高さがあったから生み出されることになった。
 一番深いところで163メートルもあるから、湖底は華厳の滝の滝壺よりも更に深い位置になる。
 周囲約25キロ。日本で25番目に広い湖だそうだ。



船着き場

 観光客として中禅寺湖を訪れて何をするかといえば、やることはだいたい3つしかない。湖をぼぉーっと眺めるか、ボートで湖にこぎ出すか、遊覧船に乗るかだ。我々は遊覧船を選択した。足こぎスワンボートはあっさり却下された。手こぎボートは難破する恐れがあるので自粛した。
 湖の周囲はそれなりに店などもあって、観光ムードが色濃い。奥日光の静かな湖みたいなものをイメージしていくと、俗っぽさにがっかりしてしまうかもしれない。奥の方はいざ知らず、表側は避暑地というより完全に観光地化されている。
 中禅寺湖を避暑地として育てたのは、日本を訪れた外国人たちだった。江戸時代には東照宮が建てられたこともあって参拝客や行楽客が大勢訪れるようになったものの、当時はまだ男体山一帯が女人禁制の聖域だったこともあり、観光地にはなっていなかった。
 松尾芭蕉は「奥の細道」の旅の途中でこの地を訪れている。1689年の4月、東照宮を見て、「あらたうと青葉若葉の日の光」と詠んだ。
 明治に入ってから、日光は大きく様変わりすることになる。明治5年(1872年)に女人解禁となり、たくさんの女性が訪れるようになった。このとき、牛馬も解禁となっている。それまでは神聖な土地ということで牛や馬もこの地に入ることは禁じられていたのだ。今でも馬返(うまがえし)と呼ばれる地名が残っているけど、これはここから先は馬は入れないから引き返したという意味だ。女の人が遠くに男体山を拝んだ場所には女人堂が残っている。
 翌明治6年には金谷ホテルが営業を始めている。外国人専用の金谷カッテージ・インとしての開業だった。
 明治9年には明治天皇が訪れ、中禅寺湖を幸の湖(さちのうみ)と名づけたという。
 上野から日光までの鉄道が開通したのは、明治23年(1890年)のことだった。
 外国の外交官などがこの地をリゾート地として選んだのは、風光明媚な避暑地というだけでなく、マス釣りが目当てだったと言われている。
 もともと中禅寺湖は堰止め湖だったため、魚はすんでいなかったらしい。それに聖地ということで殺生も禁じられていた。
 明治6年に日光在住の星野定五郎という人がイワナを放流したのがきっかけで、マスなどが次々と放流されたり養殖されるようになり、それに目をつけた外国人がスポーツフィッシングを始めた。イギリスを始め、ヨーロッパではフライフィッシングというのは紳士のたしなみの一つみたいなところがあったらしい。それを見た日本人たちも真似をするようになり、湖周辺には多くの別荘が建てられるようになった。
 現在でも外国大使館の別荘が何軒かあって、釣りに訪れる人も多いという。放流とはいっても稚魚の放流で、半分野生育ちなので、なかなか釣れないらしいけど。



足こぎボート

 スワンボートに手こぎボート、モーターボートまである。この日は天気もよかったということもあって、たくさんのボートが湖に浮かんでいた。何しろ広い湖だから、うっかり遠くまで出てしまうと帰るのに時間がかかる。不忍池とは違う。
 手こぎでも1時間1,000円、スワンは1時間3,000円もするから、2時間も漕いだら6,000円にもなる。妙に焦って漕いでいた人がいたけど、あれは時間オーバーになりそうだった人かもしれない。



遊覧船を待つ人

 中禅寺湖クルージングは、一周コースで1時間弱、1,200円。直線移動の単発コースもある。
 1時間に1本で、丸まる1時間かかるから、ここでの時間調整を間違えると大きく時間をロスすることになる。
 船は揺れも少なく、ゆったりとして快適だった。1時間というのはちょっと時間を取られすぎるけど、のんびりするにはいい。
 湖上を吹きすぎる風も冷たくて気持ちがいいし、これはなかなかオススメだ。



船の跡

 水の色は深い青緑で、水深の深さがうかがえる。
 かなり透明度の高い湖で、かつては透明度13.5メートルもあったようだ。最近の資料によると9.0メートルまで落ち込んでいる。原因は観光客が増えたことなのか、他にも何かあるのか。
 日本で一番透明度の高い湖は摩周湖で、25.5メートルとされている。然別湖、倶多楽湖、支笏湖と続き、中禅寺湖が13.5だったときは日本で7番目だった。



中禅寺湖の風景

 カヌー軍団も湖に繰り出していた。遠目だったので子供だったのか大人だったのか判別できなかったけど、この日は風も穏やかで波もほとんど立ってなかったから、気持ちよかっただろう。



男体山

 男体山の山頂付近に終始雲がかかっていて、とうとう最後まで全体を見ることができなかった。



昼食のケーキ

 船上で午後の予定を検討したところ、店に入って昼食を食べる時間がないことが判明。ツレ持参のワッフルとプチケーキでの昼食となった。船内にはジュースの自動販売機も置いてない。でも、1時間あるから、ここで持参の弁当を広げるというのは無駄がなくていい。テーブル席も用意されている。




中禅寺

 今回時間の関係でどうしても割愛せざるを得なかった中善寺(立木観音)を船上から拝む。
 勝道上人が開山したお寺で、中禅寺湖の名前はここから来ている。日光山輪王寺の別院でもある。
 立木観音という通称は、本尊が桂の立木を勝道上人が彫った千手観音ということで、そう呼ばれている。
 中禅寺湖はそう簡単には行けないところだから、こことはすれ違ってしまった。もう一つ中禅寺湖畔には二荒山神社の中宮があって、どちらかしか行けないとなって、そちらを選んだのだった。結果的にはそれが正解だったことになる。もし、中善寺を選択していたら、後半の予定がガタガタになってしまった可能性がある。



明智平より

 これは明智平から見る中禅寺湖の遠望だ。
 こうして中禅寺湖もしっかり堪能した我々は、二荒山神社中宮を参拝したあと、いよいよ華厳の滝へ向かうこととなった。そのときのことはまた次回。

 華厳の滝のズーム連続写真と藤村操と夏目金之助先生 ~日光第三回
 

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小説できました

先日、こちらのブログ他その他もろもろを見せていただいたのは、いかにして名古屋に行かずに名古屋を舞台にした小説を書くかで悩んでいたときでした。
結局、その後約2日で完成(たった原稿用紙17枚ですが)。
早速、名古屋市が主催するショートストーリーコンテストに応募しました。
残念ながら、内容はお伝えできませんが(非公開のものしか応募できないので)、勝手に主人公をカメラ好きの男性にしました。(すいません)
多分、性格は違うと思います。なんといっても、性格は私そのものなので・・・
※主人公が女性だと、どうしてもその主人公が自分とダブるので、今回は男性にしてみたのに、やっぱり同じことだった。

2008-07-25 01:29 | from Peace Story

名古屋の中心で

★Peace Storyさん

 こんにちは。
 小説書かれたのですね。
 間接的にお役に立てたようで(?)、よかったです。
 カッコよく書きすぎてないといいけど(笑)。

 名古屋もけっこういいところがたくさんあるから、通過するだけじゃなく遊びにきてくださいね。
 私がもっと名古屋の中心地や有名どころを回る方が先かもしれない。(^^;
 栄とか、めったに登場しないですもんねぇ。

2008-07-25 04:41 | from オオタ | Edit

「空を見上げて」

タイトルは「空を見上げて」二しました。絵を書く場合空だけを描く事はないけれど、写真にすると、空だけでも結構かっこよかったので。
それに主人公は超前向きな性格だから、どんな時もポジティブでいるとことを示しています。
もし、私の書いた小説が入賞すると、来年の1月末頃、名古屋市内の多分生涯学習センターなどで、記念冊子が配られます。

それから、内容は恋愛小説なんですが、主人公の台詞が
チョーカッコヨクなってしまいました。

笑ってくれるとうれしいです。

2008-07-25 12:14 | from Peace Story

撮るための空を見る

★Peace Storyさん

 こんにちは。

 主人公は前向きでセリフがカッコイイんですか。
 じゃあ、似てないから大丈夫ですね(笑)。
 入選するといいですね。

 写真を撮るようになってから、よく空を見るようになりました。
 主に被写体探しなんだけど、空の表情の変化が楽しいものだと知ったのも、カメラのおかげです。
 夏は朝焼けがいい季節なんだけど、まだこの夏はいい朝焼けに出会ってません。
 朝焼けの写真が撮りたいなぁ。

2008-07-26 05:06 | from オオタ | Edit

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2008-07-26 19:54 | from -

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